●江戸明治和本●〈江戸一覧〉大地震場所附 【判型】中本1冊。縦176粍。 【作者】不明。 【年代等】安政2年11月刊（表紙墨判による推定）。刊行者不明。 【備考】分類「災異」。『〈江戸一覧〉大地震場所附』は、安政江戸地震の被害状況などを地域別に記述した記録。安政江戸地震は、安政2年10月2日（1855年11月11日）午後10時ごろ、関東地方南部で発生したM7クラスの地震で、世に言う「安政の大地震」は、特に本地震を指すことが多く、単に江戸地震とも呼ばれる（Wikipedia参照）。巻頭に被災地域をイロハ分けした一覧（「い」＝京橋竹丁へん～「う」＝桜田兼房へんの24区域）を載せ、続いて見開きの「江戸大地震出火場略図」（行徳方面から隅田川・江戸城方向を臨む鳥瞰図による出火状況）を掲げて、「安政二乙卯十月二日夜、四ッ時過より大地震、にはかにゆりいだし、江戸四里四方は、申に不及、其外在々に至るまで仰々大潰れとなり…」と起筆して被害の概要を述べた後、イロハ区分毎に地震火災の被災状況や家屋倒壊の様子を具体的な地名を挙げて詳細に報告する。また、江戸府内各地に設置された御救小屋について触れ、その風景図を載せ、さらに「御府内施し名前附」（民間救援者の一覧）、また、「海道筋其外近郷」の被災状況や江戸芝居町の役者宅の被害の様子、土蔵倒壊・焼失状況、死亡者総数、新吉原の志望者数について略記し、最後に、浅草寺・回向院・西本願寺・東本願寺等の施餓鬼について触れる。なお、刷り表紙の外題に「十一月三日改」の墨印を押すため、この頃に出版されたものと思われる。 ★原装・刷外題・状態良好。稀書（全国に所蔵1カ所（国文学研究資料館DB））。